京都府与謝郡与謝野町 内科・外科・リハビリテーション科・在宅診療 いとうクリニック

ふくろうくんのブログ

拾い物

6月3日 水曜日

実際には行ったこともないのですけど、3-4年前からこの時期になるとちょっと気になっている毎年のイベントがありまして・・。長野県は八ヶ岳で毎年夏休みに開かれる野外映画館「星空の映画祭」っていうのがあるのです。ツイッターでフォローしているのですけど、昨日?今年のイベントは中止となりますというツイートが流れてきました。去年は確かボヘミアンラプソディーが上映されていたのではないかと思います。ほぼ関係はないのですけど、残念だな・・・

 

そうそう、ユーチューブでの拾い物を視聴したことを書こうと思っていたのです。昔は毎週必ず見ていた番組で、Ryu’s Barというのがあります。好きな作家の村上龍氏がナビゲーターで、アシスタントに森口瑤子さんとか岡部まりさんとかジュリードレフュスさんとかを配して、時の著名人を招いて語り合うという番組でした。今回上岡龍太郎さんゲストの回の番組が某動画サイトにアップされていたので見てみました。あ~これ見てたな~っていう感想です。この番組、高校のころに見てたという記憶だったのですけど、実は20歳くらいの時に始まっているので、その記憶は誤りなのですね。大学時代に見てたのか~。ちょうど彼が「愛と幻想のファシズム」を世に著したころですな・・。昔は限りなく透明に近い・・・とか読んでも、こんなのめちゃくちゃなだけやん って思うだけだったのですが、今なら違く解釈できるワタクシ。ちょっとは成長?したのだらうか。しかしな~こういう構成の番組は今はないですね。昔の自分を思い出すと嫌悪感とかしかわいてこないのですけど、こういう番組が好きだったのだというのは、ほんのちょっと自分の頭をなでなでしてあげたい気持ちになる唯一の根拠です(わかりにくっ!)。この番組の不思議な部分は、最後にゲストに渡されるプレゼントが意味不明なものであったということと、番組中に出演者がたばこをスパスパ吸っていることだけです(スポンサーがJTだったからこれは仕方ないですね)。テーマ曲はあまりにも有名なcleopatra’s dreamです。ま、聴いてみて!ああこの曲なっていう感想しかないとおもいます。ジャケットに子供がのぞき込んでるの今はじめて気づいた・・・

明日は、オバマ元大統領”今は一市民”のメッセージを読んだので、それ訳してアップしてみようかな~・・それではみなさんHave a nice day!

giving her a chance

6月2日

感染と暴動とが吹き荒れているアメリカであったり、コロナとエボラが発症しているアフリカとか海外での大変な情報に接するたびに、日本の平穏さに感謝しています。一部の自治体の長が、特定の自治体の医療が崩壊と呼ぶべきものであったのではないかと発言したことがいろいろな議論を巻き起こしていたようです。医療崩壊とは何を指しているのか、それぞれの人の考え方次第で議論はどちらにでも転がっていきそうです。僕は少なくとも崩壊寸前であったのは間違いないと考えています。もちろんすべてが雲散霧消してしまうような崩壊消滅という意味で申し上げているわけではありません。しかし、医療へのアクセスが一定程度抑制をせざるを得なかったのは事実ではないでしょうか。特にほかの救急疾患が受け入れ先に困難を生じていたり、手術治療などの予定が延期になったりしていたというのはよく耳にする話です。医療機関従事者にも過度の精神的肉体的負担がかかっていたというのもすでに各種メディアで報じられている通りです。問題は今回幸いにしていったん急場をしのぐことができたと言う現時点において、次にやってくるかもしれない急激な感染拡大フェーズに対応できるような準備を備えることが大切なのだと思います。医療崩壊であったと指摘された自治体にしてみれば反論したくもなるのでしょうが、ここはそういった見方もあるのかなと双方歩み寄って建設的な情報交換や議論を盛り上げていくのが私たちみんなのためなのではないかと思いました。特に最近のSNSとかテレビメディアなどでの事件や対立を見ていると、いったんこの人はこうであるという噂が立ったときに一気に炎上してしまい、その人物や団体に払拭困難なイメージを固定化してしまうということで無益な対立や孤立化を引き起こして、不幸な帰結に連鎖していくということを感じています。断定→バッシング→孤立化という悪循環が発生してしまっていますね。すこし関連するのですが、先日元国会議員で、万人が認める暴言で辞職に追い込まれた方が数年経た今、インタビューを受けて当時を回顧しておられる記事を読みました。そのまま信じてよいのであれば、冷静に当時を振り返って反省をし、現在の活動に生かしておられるようです。同様に十年以上も前になると思いますが、政治資金規正法違反で起訴され有罪判決を受けて収監されていた議員さんが、当時服役期間を終えてからその時の体験を踏まえてルポルタージュを出しておられたり、その後も出色の発信をされていたりすることもあると知りました。いったん世間に対する大きな影響のある事件を起こしてしまったら、その後の人生を棒に振るような歩みを強いられることが多いと思いますが、中にはきっちりと反省・見直し・出直しができる人も少なくないと思います。もう一度チャンスを与えてあげることができるような寛容な気持ちを持つことができれば良いなと考えています。

それでは・・・現時点でのコロナについてわかっていること、ラジオ番組でおさらいしてみましょう。先生は・・・おなじみNIHの峰先生と、聖路加国際病院の坂本先生です。頭の中を整理して今後の行動に生かしていきましょう!(いつもほかの媒体だよりの情報提供で申し訳ありません・・・)

https://www.tbsradio.jp/487733

ちょっとだけずれている

5月32日 月曜日

新しい日常を始めるべきであるという初日の日です。

冒頭の行に日付を書き入れる際についつい5月と書いてしまったので、それなら31日の次は32日でもいいかとしてみました。われながらくだらないことですね・・・。ちなみにうちの電子カルテは平成32年5月でもちゃんと理解してくれています(これは当たり前か)。

先日依頼をした宅配の品物が、追跡では到着していないとおかしいのに夕方になってもなかなか来なかったのです。もう今日は来ないのかなと半ばあきらめていたところ、夕方というか夜になってピンポーン。配達の方が品物と交換に、言い辛そうに付け加えて曰く、住所の記載に不備があり、どこに配送すべきなのか局内でちょっとした騒動であったようです。すこしの違いなのですがそれが大きな影響を及ぼすってことありますよね。病気のことで言いますと、大動脈後左腎静脈というものがあります。身体に左右一対ある腎臓のお話です。人間の体は左右対称性があると思うのですけれど、当然のことながら完全にシンメトリーではないのです。ど真ん中にあるものは何かというと、脊椎(せぼね)ですね。ほかに真ん中に位置する権利を有していそうなものは大動脈があります。動脈に比べて日陰の存在の静脈、すなわち大静脈も真ん中にいてよさそうなものです。しかし先述したように両血管は脊椎にその座を譲っているわけです。仕方がないので動脈は真ん中からやや左に、静脈はやや右にその位置をずらして存在します。さてさて、腎臓に戻りますと、そこから出てくる静脈(腎静脈と言います)は体の中央やや右に存在する大静脈に合流することとなります。そのためど真ん中の椎体と、その手前の大動脈をよいしょ!って乗り越えないといけないのですね。通常はその前側を乗り越えるのですが、まれに動脈の後ろ側(寝た状態だと下側になります)を通るものがあるのです。一種の奇形なのですが、私たちはそれを奇形とは呼ばずに形態異状とか破格と呼んでいます。ふ~ん・・・なお話だと思うのですが、実はそのことがいろいろな身体に影響を及ぼすのですね。例えば血尿とか腹痛を生じたり、最悪の場合には腎機能不全を生ずることがあると言われています。

ほんのちょっとずれただけなのに・・・

多様性と均一性

5月31日 日曜日

5月も終わり明日から6月です。ミネアポリスの事件がほかの地域にも影響を及ぼしているようです。各地で抗議のデモが起こっているとの報道です。LAでも外出禁止令が出ているとか。アトランタでも、フィラデルフィアでも、コロナの次は抗議デモ・・・アメリカは揺れていますね。これちょっとやそっとでは収束しないような感じがします。Justiceという言葉が試されています。複数のethnicityが暮らす国ならではの苦悩でもあるのでしょう。多様性が重んじられる国で起こる騒乱を鎮めるためには、高度に知性的な牽引力が必要となると思います。一方で私たちの国では均一であることが時として美徳とされます。感染症の終息にはこの均一性は良い方向に作用していると思いますが、これは時として同調圧力となって人々の心を蝕むものでしょう。普段接している患者さんたちの生活も、大変に大きな影響を受けておられると感じています。壊れかけた日常生活を皆が取り戻していくことができますように・・・

 

 

 

rebellion

5月30日 土曜日

昨日は朝から米国ミネアポリスの騒乱の動画を見てちょっと放心状態となった。大げさかもしれないが、いろいろと辿ってみると留学中に車で通った街並みも垣間見えたので、なおのこと悲しい気持ちとなる。今回の騒乱は、偽造紙幣に絡む犯罪で拘束された黒人の容疑者がその喉元を警官に踏みつけられて死亡に至った事件がきっかけとなっている。その後暴動や略奪が起きて、ツインシティと呼ばれる街ではあちこちに小火が立ちのぼり騒然とした雰囲気を見せている。この手の報道に接すると、アメリカという国はやはり人種差別や銃の問題がそのアキレス腱なのだなと思わざるを得ない。CNNが都市の封鎖の現場をリポートしているそのオンエアの最中にリポーターとクルーが逮捕されていく場面もなかなかに衝撃的である。半袖半ズボン姿のプロデューサーも手が後ろに回されているが、みな堂々と振舞っていた。記者魂というのであろうか、おそらく内心(これはネタになるぞって)微笑んでさえいるような感じだ。議事録一つ公開できない国との差はとても大きい。大統領のツイッターアカウントも混乱しているようだ。テイラースイフトも声を上げているね。トラさんの言動は、こういった社会情勢に対して収束を呼びかける方向と正反対のビーンボールに近いものであると断ずるべきであろう。あまりに前任者との落差が大きいなと思うのは私だけではないだろう・・・。

 

人種差別問題を目にしたり耳にするたびに、齢50歳でこの世を去ったマイケル・ジャクソンのことを連想します。世界的ベストセラーアルバムをこの世に送り出し、黒人で初めてMTVで取り上げられたこの偉人の遺したオックスフォード大学でのスピーチを何度か聞きました。スティーブジョブズのスタンフォードでの講演と双璧をなすものだと思っています。容赦をしない数多くの誹謗中傷にさらされたマイケルや、エイズによって命を奪われたフレディー・マーキュリーなど、今の時代に生きていたら・・また違う評価を受けていたような気がします。いやいやもちろんすでに偉大な評価を受けてはいるのですけど、常に彼らには影の部分が大きく取り沙汰されていたと思うのですよね。内面はナイーブで、情け容赦ない批判に弁解の場が十分に与えられなかったと思うのです。SNSなんかがあればまた救われることもあったのではないかな~なんて想像は膨らみますね。マイケルの”They dont care about us”とフレディーの”I want it all”は元気を出したいときにいつも聴いています。

フルボリュームでね!! それでは今週もあと一日、頑張って働かねば‥ネバ

 

意思表示の大切さ

5月29日 金曜日

私はこう思いますとか、私はその意見に賛成です、あるいは反対ですとかいう意思表示が昔から苦手でした。よくわからないということもその理由の一つだったのですが、一応思うところはあるのだけれど、それを満天下に宣言するのに躊躇してしまうという気持ちがその大きな理由の一つでした。今でも優柔不断で、ちょっとしたことでくよくよと悩んでしまう性分は、昔からの自分を引きずっているように思います。この数年で、ようやくそういった過去の呪縛から逃れてきているような気がしています。ところで!最近オンライン会議を何度か経験しているのですが、画面を通じてやや大げさに意思表示することがこの媒体でのコミュニケーションをスムースに進める一つの方法ではないかと思いました。公的な会議ではさほど必要であるとは思わないのですが、対談や鼎談をウェブで行うときには、他人がしゃべっているところで同意できる部分には、うんうん!!って頷いてあげるとコミュニケーションが進むなあと感じました。よく芸人さんが、オンライン漫談なんかをするときに、観客からのリアクションが全く分からないのがつらいっておっしゃっているのをよく聞きます。オンライン対談でも自分の意見に同意してもらっている雰囲気をなかなか感じ取るのは難しいなと思います。顔を突き合わせていると、何となく自分の意見を好意的に聞いてもらえているかどうかは肌身で感じることができると思うのですけど、画面の雰囲気だけでは十分に感じ取ることができないのです。ということで・・画面ではやや大げさなくらい頷いたり、ブンブンって首を振ったり、オーバーリアクションしてあげましょう。

それでは・・・今日も皆様にとって楽しく明るい一日になりますように、Thank God its Friday  !!

良い制度づくりを

5月28日 木曜日

小中学校、高校も授業が始まっているようです。一時期(今も?)よく話題になっていた”9月入学制度導入”も慎重論が出ていると聞きます。9月入学制度の理由付けとしてよく聞くのは、諸外国に倣って・・ということが挙げられるでしょう。確かに海外に留学したり、逆に留学生を受け入れたりする際にはそのギャップが少なからず障壁として存在するのだと思います。よく考えると、私のたどってきた医学部教育制度、医師養成の制度も各国でかなり相違があります。例えばアメリカでは、医学部入学までには一般の四年制大学で、物理化学とか社会学心理学などの履修を終えて卒業(undergraduate)してから、医学部入学のための専門的な試験に合格して、メディカルスクールに入学し、そこで4年間を過ごさなければならないと聞きます。専門的な高度な学問を履修する前には、いわゆるリベラルアーツを学び、さらに医学部入学に際してはMCATという専門的な試験でよい成績を収めなくてはならないだけではなく、人間性や倫理観、ボランティア精神などの評価も推薦書や面接で検討評価されるということです。日本では、高校卒業と同時に医学部入学をして6年間を過ごします。最近では、より早く前倒して専門的教育がなされるために、一般教養課程は削られる傾向にあります。医学部教育を受ける年齢が18歳と22歳と聞くと、さほど違いがないと思われるかもしれませんが、その頃の4年間って自分に当てはめて考えると精神的な年齢として相当異なってるのではないかなと考えたりもします。いったん医学部を卒業して、国家試験に合格してから専門医となるまでの制度になると、さらに両国間では差異が大きくなってきます。もちろん私たちの国独自の良い点とか、他国の制度で見習うべき点とか様々あって、どちらが良くてどちらが良くないということではありませんが、教育システムというものはその国の方向性がかかっていると言っても過言ではないと思います。もちろん良い制度にはそれなりに経済的投資も必要となるでしょう。ある意味、教育と福祉にかける予算はその国の豊かさと比例しているのかもしれません。

hidden figures

5月27日 水曜日

この国は人口減少フェーズに入ったと言われて久しいです。みなさんどのくらいのスピードでどこまで減少するのか考えてみたことがありますか?すこし調べてみるとちゃーんとグラフ化されていましたよ。きちんと調べられているようです。国土交通省のウェブサイトかな?とってきました。どぞ↓

如何でしょうか?

江戸時代の定常状態の際に3000万人であったこの国の人口は、日清日露戦争を経てその後の大戦期から終戦後、高度成長期、バブル時代を経て1億人を超え、その後2006年を境に急落の現代となっています。あ~そうですか・・・っていう感じだと思うのですけど、このグラフで私たちが生きているのは次のような時期であるということがとっても大事だと思っています。補助線を引いてみますね。では、またまたどぞ↓

 

どうでしょう?バブルの時代ののちにも人口は少し増加し、現在はその時期を下回りつつあるということのようです。ちょっとビックリしませんか。いまだかつてこの国で(おそらくほかの国でも)急上昇の人口が急降下に転じるような、この時代に生きた人々はいなかったのではないかと思います。政治システムとか、経済体制とかが時代の間尺に合わなくなってくる、制度疲労を起こしてきているのだと思います。人口増大フェーズの1億2千万人をケアする政策と、急速下降フェーズにおけるそれとが大きく異なるのはよくよく考えると当然のことですよね。高度経済成長の時代、世界からエコノミックアニマルと呼ばれるほどがむしゃらに働いて、「誰に食べさせてもらっていると思ってるんじゃー」って言いながら跳梁跋扈していたオッサン・ダイナソーも今は昔。その後「君たち、いつまでそんなんが通用すると思ってんの?」なんて言われた自由競争・新自由主義時代も長くは続かず、今は他人と違うことこそに価値を見出そうとするジェンダーフリー社会であったり、いろいろなハラスメントに泣き寝入りすることなく暮らしていけるような社会づくりに力点が置かれようとしています。そう考えると、生きづらさの社会から脱皮して、これからの時代なんかワクワクしてきませんか?おそらく私があとこの世に暮らすことができるのはせいぜい数十年でしょうから、この激変する時代の帰結を見届けることはできないと思っています。しかし、今この時期だけを考えるのではなく、将来の世代のためにということを考えながら、弱者への目配りを大切にしてくれるような社会システムを構築して行こうとする政策を応援していきたいなと考えています。人口がこれだけ減じていくのですから、国民総生産は必ず下がっていきます。そうなると当然のことながら税金収入も減っていくでしょう。いくら生産効率を向上させても、右肩上がりの時代に巻き戻すことは相当に困難です。それを前提に語ることができる人・・・なかなかいないと思います。あえてそこに切り込んでいくような政策を論じている人がいれば、おそらくその人はある程度信頼できるのではないかと思います。ハイ、これは私の考え方ですので聞き流していただくようにお願いいたしますね!

ではみなさま、今日も・・・お元気でお過ごしください。Bye!

ワクチンはできるのか

5月26日 火曜日

すべての地域で緊急事態宣言が解除されたようです。いくつかの地域ではまだ気になる数値の推移はみられるようですので引き続き油断はできません。第2波は意外とすぐにやってくるかもしれません。そんな中ですが、ちょっと勇気づけられる記事を読みました。しょっちゅう引用元している雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」からです。ほぼ20年以上前に小生が大学院生だったころによく勉強させてもらった著者の一人が語っているインタビュー記事です。Dr.Alessandro Setteという、現在は免疫研究で有名なLa Jolla Instituteという研究機関の教授です。COVID-19に罹患したが大きなトラブルなく治癒したという患者の血液サンプルと、まったくそれらの感染にかかっていないと思われる健常者の血液サンプルを持ちいた研究結果です。患者ではかなり強いT細胞反応性を認めます。驚くべきことにその反応性は、まったくCOVID-19に関わっていないグループにも見られたということです。従来型のコロナウイルスへの過去罹患歴がそのような交差反応性、すなわち従来型コロナへの反応は、新型にも反応することができるという可能性が推測されることとなります。また、このような強い免疫反応が体に備わっているということは、とりもなおさずワクチンができる可能性が高いことを裏付けるものでもあります。かつての豚インフルエンザの際には、年配のほうが若年者よりも重症化が少ないというデータがあったのですが、その際にも新型によく似た別のH1N1の過去罹患歴が関係しているのではないかと論じられたことと相同します。そもそも微生物を排除するための免疫反応には、自然免疫と獲得免疫の二種類が備わっています。自然免疫というのはとにかく異物と認識したものを手あたり次第食べてしまうような細胞、マクロファージとかNK細胞というものが活躍します。規則正しい生活をして、免疫能力を高めましょう(言い方には異論がありますが)という主張はこの自然免疫力を強化するためのものです。一方で、カギと鍵穴という表現で言われるT細胞や抗体による排除は、相手がどんなものであるかによって規定されます(抗原特異性と言います)。この世に存在する、無数とも言えるたんぱく質を相手に、どの微生物のどのたんぱく質というように体は覚えていて、それが体内に侵入してくると即座にそれをやっつける細胞を増殖して感染から身を守ってくれているというわけです。通常身体は一度この抗原(微生物)を身をもって体験しないと、すなわち感染しないと認識できないのですが(前感作と言います)、予防接種は感染することなく、体にそれを覚えこませているわけです。ふ~たくさん書くとよくわからなくなりますね・・・。とりあえず、Dr.Setteは、これまでのデータを総合すると、ワクチン完成への可能性は相当高く、しかもそれは単一の手段ではなく、いくつかの方法を我々は手にすることができるのではないかと予測されているようです。記事ではModernaというバイオテク企業の臨床試験が順調に進んでいるようでもあり、ほかにもすでに100を超えるスタディが進められていると書かれています。

読みながら書くと、グーグル翻訳みたいな堅苦しい日本語になりました。失礼いたしました

https://www.scientificamerican.com/article/early-coronavirus-immunity-data-fuel-promise-for-a-vaccine/

それでは朝からややお天気は悪いですが、みなさんごきげんよう Have a nice day!

 

skinny genes

5月25日 月曜日

履けなくなってしまったジーンズのお話ではありません。肥満を解消することができる遺伝子のストーリーです。そう聞くと俄然耳がダンボになってしまった方も多いと思います。食べても食べても太らない体質があるかもしれないという論文です。

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)30497-9

ALKという遺伝子はその変異型が肺がんやリンパ腫などの発症に関連していることがわかっており、すでにそれを利用した抗がん剤も開発されています。マウスでこの遺伝子をつぶしてしまうと、たくさん食べているのに体重が増えないという現象が観察されるということらしいです。研究者たちはこぞって太りやすい遺伝子を探していたのですが、この論文では著者らはやせる遺伝子を探してみてそれに当たったということだそうです。一種の逆張りみたいな考え方かな・・。将来錠剤飲んで減量する日がやって来るのかもしれません。

 

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